エーテル理論
当時の人の気持ちになって考えてほしい。 波と言えば、何かが揺れている現象である。 では電磁波の場合は何が揺れているのだろう。 よく分からないのでとりあえず「エーテル」という名前で呼ぶことにした。 この「エーテル」の語源は、アリストテレスが火・水・土・空気の 4 元素説に加えて、 天上界にある第 5 の元素として挙げている元素の名前であって、 これを使ったネーミングセンスはなかなかのものである。このエーテルは宇宙を満たしているに違いない。 なぜなら遠く離れた星からの光も地球に届いているのだから途中の 宇宙空間にもエーテルがなければならない。 すると地球はエーテルの海の中を突き進んでいることになる!
もしそうならば、測定器の向きを変えて測定してみて 光の速さがどれくらい変化するかを調べれば、 我々がエーテルの中をどれくらいの速さで突き進んでいるかが分かる筈である。 ところが、どんなに精密に測定しても、光の速さは変化しなかった。 季節を変えても、場所を変えても、昼と夜を比べても。 (地球は自転しているので夜と昼とではエーテルの流れの方向が逆になるはずだ。) 我々はエーテルに対して止まっているのだろうか? 太陽の周りの公転運動だけ考えても、地球はかなりの速さで宇宙を進んでいるはずなのに。 天動説の再来である。 やはり宇宙の中心で止まっているのは地球の側で、他の星が周りを回っているのか?! そんなはずはない!
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