2012年5月7日月曜日

ニセ科学


ニセ科学

雑談帖 — ニセ科学


目次

★《ガンの罹りやすさと性格とは関係ない》 2010/09/20(Mon) 07:35:02
★《BBC による「ブラハラ」報道》 2010/04/30(Fri) 18:04:07
★《トマティスメソッドの臨床的検証》 2008/09/13(Sat) 19:25:01
★《菅原明子の「研究所」》 2008/09/09(Tue) 10:20:57
★《創造説を信奉し,環境保護より開発を優先するアメリカの副大統領候補》 2008/09/07(Sun) 13:24:02
★《100匹目の猿》 2008/08/17(Sun) 23:39:57
★《マイナスイオンの「学会」があるらしい》 2008/08/14(Thu) 13:11:15
★《「七田式超高速モーツアルトメソッド」入手》 2008/08/13(Wed) 01:23:03
★《ABOFAN氏の主張らしいもの》 2008/07/28(Mon) 20:32:42
★《ホリスティック医療》 2008/07/09(Wed) 11:26:06
★《自分のエネルギー体を計測?》 2008/06/30(Mon) 00:14:32
★《血液型と性格の相関を台湾の高校生について調査した研究》 2008/05/24(Sat) 19:28:12
★《「B型・・・」の「書評」が》 2008/05/11(Sun) 13:34:33
★《同じ朝刊の2面にも血液型本》 2008/05/06(Tue) 20:59:21
★《血液型人間差別本がまたまた》 2008/05/06(Tue) 14:34:19
★《ゲルマニウムを使った「チオクリーン糸」》 2008/03/20(Thu) 17:20:12
★《ホメオパシーさんの読む本》 2007/12/14(Fri) 09:53:57
★《宗教団体の水商売》 2007/10/15(Mon) 11:39:00
★《比嘉,江本,船井のそろい踏み》 2007/10/03(Wed) 23:59:42
★《血液型差別を助長する教育系出版社》 2007/09/27(Thu) 03:37:00
★《七田眞「右脳の神秘」》 2007/08/22(Wed) 10:05:09
★《血液型迷信を信じる元警官》 2007/07/25(Wed) 08:24:58
★《井深大対談リスト》 2007/07/13(Fri) 00:25:11
★《七田式 右脳》 2007/07/02(Mon) 17:49:30
★《マイナスイオン本のサイト》 2007/06/20(Wed) 23:38:44
★《シャープの「除菌イオン」》 2007/06/20(Wed) 10:47:11
★《Nature でホメオパシーの批判記事》 2007/03/22(Thu) 12:43:45
★《毎日インタラクティブでマイナスイオン批判》 2007/02/22(Thu) 22:16:23
★《「マイナスイオン」の論文をまじめに読んでみる》 2007/01/17(Wed) 07:54:52
★《マイナスイオン発生装置の技術資料》 2007/01/06(Sat) 14:57:02
★《オゾンは酸素の同位体で無臭!?》 2007/01/05(Fri) 19:15:10
★《菊池さん視点論点出演》 2006/12/23(Sat) 12:49:43
★《光フォーラムだそうだ》 2006/12/07(Thu) 07:18:45
★《ホメオパシーに関する海外事情》 2006/11/27(Mon) 08:49:08
★《マイナスイオン 松下の Zushi 氏へのインタビュー》 2006/11/12(Sun) 11:14:51
★《「水からの伝言」批判の決定版》 2006/11/09(Thu) 15:46:33
★《ナチュラル ハイジーン》 2006/10/19(Thu) 01:18:47
★《統計捏造,これもディレカ》 2006/10/02(Mon) 23:48:15
★《血液型関係のサイト》 2006/09/24(Sun) 14:24:05
★《ニセ科学フォーラム資料》 2006/09/12(Tue) 17:34:21
★《Google の不思議》 2006/08/21(Mon) 23:42:35
★《「101匹目のサル」》 2006/08/16(Wed) 23:02:18
★《ディレカ》 2006/07/31(Mon) 21:55:20
★《「ニセ科学」と言ってくれる人に飢えている》 2006/07/31(Mon) 08:36:03
★《Project of Love and Thanks to Water だそうだ》 2006/07/18(Tue) 11:16:37
★《小川俊夫の水関連文書》 2006/07/18(Tue) 00:54:43
★《本がそろった》 2006/07/13(Thu) 12:34:19
★《ニセ科学フォーラム 京都・東京 プログラム改定》 2006/07/12(Wed) 23:55:20
★《ニセ科学フォーラムを京都・東京で開催》 2006/07/12(Wed) 00:13:01
★《健康と環境とマイナスイオン水》 2006/07/10(Mon) 15:31:21
★《物理学会,高尾征治氏の発表》 2006/07/09(Sun) 17:04:40
★《インテリジェントデザイン系のサイト》 2006/07/09(Sun) 12:52:33
★《マイナスイオンと水からの伝言―質の異なるふたつの問題》 2006/07/06(Thu) 07:40:19
★《マイナスイオンの効用》 2006/06/29(Thu) 09:52:13
★《突っ込みどころは満載だけど》 2006/06/26(Mon) 01:57:08
★《筋肉が色を感じるんだそうだ》 2006/06/26(Mon) 01:36:58
★《言葉を持たない人々》 2006/06/21(Wed) 12:27:57
★《水系ニセ科学をサポートする「学者」》 2006/06/12(Mon) 21:55:52
★《藤田紘一郎,血液型性格決定論者にというニュース》 2006/06/04(Sun) 21:57:46
★《Y 染色体 とミトコンドリア》 2006/05/18(Thu) 09:23:39
★《EMの有効性に関するシンポジウムの報告書》 2006/05/08(Mon) 19:48:03
★《EMせっけんなるもの》 2006/05/03(Wed) 17:39:18

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この記事 を読むべし。


七田式でやっている「音楽療法」はフランスの代替医学者トマティスをまねしているということだ。最近,この「トマティスメソッド」が自閉症に効くとする主張に対する疑問がヨーロッパでも持ち上がっているらしく,検証した医学論文が出されている。これとか これ。英文の Wikipedia の項目の参考文献から。 結論,現時点で有効であるという十分な証拠はない。自閉症の子供の言葉の発達について,トマティス法による改善は見られなかった。


マイナスイオン宣伝の旗ふり役のひとり,菅原明子のサイトがある。その中の,「あなたの生活を科学と知恵でサポート」というページからリンクされた記事がふるっている。下のような段落もあった。誤字や疑問な語法も多いので下線を入れて引用しよう。文章としてもお粗末なのだ。

 たとえば農地に磁場を作ってあげると、作物が甘くなったり、収量が上がったり、果物では甘くなったりということの実験もされはじめています。以前、テレビを見て笑ってしまったのですが、大型のメロンを栽培する時にメロンの果実の茎の部分にピップエレキバンをひとつつけてあげるだけで、タマが大きくなり、そして甘くなる、ということを実際に利用している農家があるのです。これも農芸化学者達からは非難されるものかもしれません。これも植物の師管、導管を出入りする水のクラスターが小さく動きかつスムーズになり地場ができて、まわりの空気がマイナスイオンになることも原因かもしれません。
農地に対して磁場を作って「あげる」という用法もなかなかだ。よくペットに「〜してあげる」という人がいて,いかがなものかと思うのだけど,この人には農地も可愛いペットみたいに見えるのか。2つの「甘くなったり」もいったいどういう関係なのか不明。何が「スムーズになり」なのかも分からない。できればこのコメントを読んで,自分で添削してほしいものだ。

そんな文章でもって,この非科学的な,かつ科学を愚弄したもののいいようには開いた口が塞がらない。農地に磁場を作るというが,地磁気レベルの強度の磁場を農地の面積いっぱいに作ろうとするなら,ものすごい磁石が必要になる。磁石が作る磁場の強度は磁気二重極(ダイポール)モーメントによるものだから,距離の三乗に反比例して減少する。ようするに磁力線がN極とS極をなるべく短く結ぼうとして(かつ他の磁力線と避け合おうとして)空間に張られるわけで,市販の磁石ではせいぜい数センチの領域にしか実効的な磁場を作れないのだ。地磁気の場合には地球の両端が極になっているわけだから,畑全体を均一に覆うことができるということを忘れてはいけない。

さて, たかがピップエレキバン1つでメロンの味やサイズがちょっとでも改善されるならコストは安いものだ。この話が本当なら,世界中の農家がとっくにやっているだろうし,科学者も効果の検証とメカニズムの解明に精を出しているだろう。私も自分の庭でやってみるにちがいない。農家や科学者を馬鹿にしてはいけない。本当に作物がよくできるなら,まずはその方法を採用するのが実業というものだし,本当に新奇な事実があれば喜んで検証しようとするのが科学者のあたりまえの姿なのだ。

最後の水のクラスターとかマイナスイオンの話は,すでに何度も否定され尽くしたたわごとにすぎない。菅原氏はこの世界で稼いできた人物なので,いまさら引っ込みがつかないということか,科学の名を騙ったでたらめな言説はいろいろな意味で有害だ。

もうひとつの段落,実はこれが本論となる核心部分で,菅原氏が宣伝しようとしている CAS という方式の冷凍機に言及している。

  CASによる冷凍では素材を磁場の環境の中において微弱なエネルギーを付加し続けておくと、水分子が振動するために氷の結晶化が抑えられます。つまり、0 度で冷凍せずマイナス10度前後まで水のままで存在するということです。これは水分子が小さくなった時に起こる現象だと考えてよいでしょう。そして、最後は小さな刺激で全体が冷凍しますが、この時クラスターの小さな水分子はクラスターの小さな氷になり、細胞膜を破壊しないほど小さいので解凍したときに細胞膜さえ破壊されなければ、食品は動物性のものでも植物性のものでもドリップは出てきません。
さて,磁場は物質にエネルギーを「付加し続ける」ことはできない。それができたら永久機関になってしまう。磁場で水分子が振動するということはまったくない,というか磁石の磁場は静的なものだからいかなる物体や分子をも持続的に振動させることはできない。この時点でエネルギー保存に反しているからインチキの説明である。そもそもそれが事実なら,磁石でお湯をわかせるはず。

また,氷点よりもずっと低温まで水が凍らないのは,ありふれた過冷却現象であって,微細なゴミを含まない水を振動を与えないようにそっと冷却すれば簡単に実現することだ。それを「これは水分子が小さくなった時に起こる現象だと考えてよいでしょう。」などと,何をしたり顔で書いているのか?何の根拠もないし,どこからそんなでたらめを思いつけるのか想像もつかない。この人は科学などとしきりに言及しながら,自然現象の常識的な説明でさえ何も分かっていないのだ。その後の氷の生成のプロセスについても,ただの思いつきででたらめを書いているだけである。

なお,磁場中での冷凍で,磁場なしの場合に比べて有意な違いが現れるかどうかについては,実際に検証した記事がある。水産タイムスの「磁場凍結に根拠なし」という木村健氏の記事。結果は対照実験に対して,量的データではほとんど差がなく,食味などについての調査でも有意なちがいは現れなかったということになっている。なお,記事で引用された,磁場の効果についての想定されるメカニズムの説明には,氷の微結晶という言葉なら出てくる。これは議論のための用語としては正当なものだ。そこでクラスターなんかを持ち出していれば,その時点でアウト。クラスターの実体に関する議論はおくとして,スケールだけを問題するならば,微結晶はマクロなサイズ(物理的にはμm程度は十分にマクロである)で,クラスターは� ��の1000分の1のミクロなスケールである。ニセ科学の人たちは,それがごちゃごちゃなのだ。

こうしてみると, 菅原氏は磁場の効果を期待する人々に対しても,おせっかいなニセ科学で味方しようとしているわけだ。応援される側は迷惑なことだ(インチキな宣伝でも儲かればいいという業者もいるので,この辺は微妙かもしれないが)。


Wired Vision の「副大統領候補ペイリン氏:「環境より開発」派、創造説教育支持」 と題した記事がある。

ワイアード・ブログ『Threat Lavel』の記事によれば、このほど米国共和党の副大統領候補に選ばれた、現アラスカ州知事のSarah Palin氏は、ホッキョクグマの数が減少しているという調査報告を重視せず、北極野生生物保護区(ANWR)での石油掘削を推進している人物だ。さらに同氏は、学校における科学の授業で創造説が教えられることを望んでいる人物でもある。
ただし,上で示された記事の引用先は,ペイリンがアラスカの環境保護よりも開発優先の立場に立っていることを述べていて,創造説云々はコメントについているだけである。創造説に関する態度については別のサイトにあった。

環境問題に関するペイリンの態度は,アラスカのホッキョクグマの数について彼女がデマを飛ばしているところに象徴されているようだ。

"In fact, the number of polar bears has risen dramatically over the past 30 years," she said. "Our fear (is) that extreme environmentalists will use this tool, the ESA, to eventually curtail or halt the North Slope production of very rich resources that America needs."
But biologists who have studied polar bear populations counter that the facts simply do not support Palin's assertion that polar bear populations are on the rise.
"Polar bear populations have not been increasing for the past 30 years, and that's a well-known fact," said Ian Stirling, an emeritus scientist with Canada's Department of the Environment and an adjunct professor at the University of Alberta in an interview. Stirling has studied polar bears for 37 years -- the longest of anyone.
In fact, the polar bear population has actually declined by 20 percent in Alaska's Southern Beaufort Sea since the mid-1980s, he says, referring to peer-reviewed research that he's conducted with other scientists for the US Geological Survey. The reason: Loss of their habitat in the form of melting ice.

創造説に対する態度については以下のようだ。

In an interview Thursday, Palin said she meant only to say that discussion of alternative views should be allowed to arise in Alaska classrooms:
"I don't think there should be a prohibition against debate if it comes up in class. It doesn't have to be part of the curriculum."
She added that, if elected, she would not push the state Board of Education to add such creation-based alternatives to the state's required curriculum.
創造説を進化理論に対するもう一つの見方として教室に持ち込むべきだというわけだ。まじないで病気を治す民間療法を保健体育の時間に取り上げて議論させろというのと対して違わない。

こんなこと書いているサイトがある。


測定し、子供の肥満のための今後の動向を監視する
ある範囲の中で、ある行動をする者の数が一定の量になると、その行動が距離や空間をこえて広がっていくとする仮説。
 米国の科学者、ライアル・ワトソンが理論化した。
 "ある地域で猿が食べものを水で洗って食べ始めたところ、その数が一定を超えた時、遠く離れた場所でも同じ行動をする猿が現れた"というエピソードが発端。
「ど素人!心理学講座」と題するシリーズで,ボランティア的に書いているらしいのだが,これはまったくのほら話であることが分かっている(それについてはこの手帳のどこかに書いた)。それに,この話を心理学のネタとして使っているというのは,無知を公言しているに等しい。なお,ユング派の中にはこれを肯定的にとらえる人がいるかも知れないが,そうであれば学問としての旗は下ろすべきだというのが,私の立場である。
いずれにせよ,明白に誤った言説を誰でも垂れ流せるという状況は困ったものだ。このサイトは「しらべる」と題したコンテンツの一部になっているのだが,他の項目も内容がないか,とんでもないことを書いているかというのが多い。しかも著者が完全に隠れている。 掲示板の書き込みならともかく,一定の規模のデータについて責任をとらないで世の中に公表することはまったく有害である。


Jeugea の楽譜売り場で見つけたので購入。つっこみどころ満載。細かい検討はおいて,巻末に「超高速モーツアルト試聴時の脳波測定」なるレポートがあったので,著者について調べてみた。所属は日本医科大学,情報科学センター,河野貴美子となっている。ReaD をみたら,67年に大学を卒業しているので,現在の年齢は63歳前後。2008年3月時点の身分が助教。アカデミックな論文は何も書かなかったというわけだ。国際生命情報科学会なる「学会」の会長などを経験しているらしい。あとは検索すれば芋づる式に情報が手に入る。


追及されるとあいまいに言を左右にするこの人だが, kikulog のこの投稿 は分かりやすい。偶発的に発生する揺らぎをもって,なんからの傾向があると見なしているわけだ。血液型と性格が関係があるという主張の根拠がそこにあるというのは,確率分布の基本がわかっていないということ。偶然を必然とみなすのは迷信の本質のひとつである。


サンケイニュースに「ホリスティック医療 伝統療法や『祈り』も活用 病と向き合って治癒力高める」 と題する次のような記事が。

薬剤投与や外科手術といった西洋医学では治しきれないさまざまな病を癒やすため、世界各地の伝統療法から「祈り」までも活用するホリスティック医療への関心が高まっている。心の持ち方や生活習慣、環境まで含めた全人、包括的な治療で、患者自身の「癒やす力」を高めるという。(八並朋昌) 2008.7.9 08:11
ちまたによくある「西洋医学」ということばには,「近代合理主義」や「現代文明」を否定的に見るニュアンスがこもっているものだ。しかもこの文脈からは,治療に当たって生活習慣を正したりメンタルな部分を考慮することは,西洋医学とは相容れないものであって,他から探してこなければいけないらしい。なに,昔から名医というのはしっかりした医療技術と人間的な説得・指導力をもって,患者に信頼されるような存在だ。もちろん西洋だろうと日本だろうと。

祈りとか気休めとかは,メンタルな部分でストレスや不安を緩和することもあるだろうから,そんなものを否定する医者もいないだろう。抵抗力とストレスの関係なんてまさに西洋医学の世界でもだれも無視なんかしてはいない。この記者はありもしない勝手なイメージを西洋医学に押し付けておいて,それに対してきわめて非科学的な疑似医療行為を対置させようとしている。

ちなみにこの記事が持ち上げている山本記念病院というのは,ホリスティック医療なるものを担当する部署をもうけているらしい。ホメオパシー,カラーセラピー,その他。 スリー・インワンという聞き慣れないものもあって,その解説をみるとなんと!

感情は細胞に記憶されています。精密筋反射によって、過去のネガティブな感情から開放されると、いままで繰り返していたストレスパターンを変えることができます。
冒頭,こんな科学的にナンセンスなことを書いていいのだろうか?まさか脳細胞と言いたいのか?しかし脳細胞は筋肉細胞ではない。この曖昧な「精密筋反射」なることばも医学用語としては存在しないようだ。ちょっとこれは。病院がニセ科学の温床になりはじめているということか。

波動アストレア

またしても「水からの伝言」の江本勝&船井幸雄コンビによるインチキな健康器具。科学的には完全なでたらめであって,これが健康の度合いを計ると称して販売するだけでも,詐欺に問われる可能性が大きい。医師法や薬事法に抵触することをきわどくかわす文言だが,全体としては病気の治療に結びつくことを印象づけるものになっている。

ちょっと笑ったのは次の下り。

江本さんの波動を測定してみると、全体的に高いエネルギーの持ち主でしたが、膵臓だけは、エネルギーが低く、糖尿病になりつつある、という結果が出ました。江本さんに確認すると、実際25年間も糖尿病を患っているとのことです。
で,何やらことばを掛けたら脾臓が治ったらしい。いや「エネルギー数値が改善された」ということで,病気が治ったとは書いていないのだ。

  • Blood type and the five factors of personality in Asia
    An ABO blood group test was performed on a sub-sample of 176 students in the pilot study to assess the accuracy of blood type recall. Multiple linear regression analysis showed no significant relationship between blood type and personality except for Type AB females who scored lower on the Conscientiousness domain. MANOVA results showed that the combined dependent variables were not significantly affected by blood type or its interaction. We concluded that the potential effect seen in Type AB females on Conscientiousness might be a chance finding because of the small sample size (78).
  • Blood type and personality
    MANOVA results showed that the combined dependent variables were not significantly affected by blood type, nor by gender, nor were there any interaction effects. No relationship between blood type and personality is supported by this study. Methodology of previous studies is reviewed and implications of the findings considered.

今日の朝日の読書欄―これが実に4面もあるのだ,さすが文化人の読む新聞―の売れている本という欄に,この間大きく広告を掲載していた『B型自分の説明書』が紹介されていた。瀧井朝世というライターが書いている文体は,ミニコミ誌や女性週刊誌の記事のそれに似ていかにも軽薄。担当編集者の「(これまでの本のように)外側から決めつけるのではなく,内側から見つめようという視点です。自己認識,自己肯定がコンセプトであるところが,これまでの血液型の本とは大きく異なる点」という言葉を引用して,さも違うものであるかのように思わせようとしているのだが,趣向を変えて新鮮に見せているだけのこと。これは書評ではない,ただの宣伝文。
広告主の意向には逆らえないというのはこの国のメディアの鉄の掟だが ,多額の広告費用をいただいたのだから,その本をよいしょしてお手伝いまでするというわけなのか。たまたまそうなっただけというかも知れないが,李下に冠を正さずという節度は守ってほしいものだ。ましてや愚民を作る血液型本。


文芸社という,自費出版専門のところの宣伝が,朝日の朝刊の2面にあることに気がついた。『B型自分の説明書』というのだそうで,それが売れたのでこんどは A型本も出したらしい。この業界,柳の下にどじょうが4匹いるわけで,うまみがあるのだろう。まあ,駅の売店に並んでいる本にも血液型本は何シリーズもあるのだが,天下の大新聞がこんなものの広告を1面にも2面にも掲載するという状況はどういうことだ。それにしても次の宣伝文句を読むと,ニキリンコさんの『俺ルール!自閉は急には止まれない』のネタからパクってきた部分があるみたいで気になる。ちょっと確認の必要ありだ。

「変」て言われるとなんだかウレしい。/□自分ルールがある。/□地味でめんどくさい作業を楽しめる(本文より)。自身B型であり、B型ゆえの自分の特徴を分析した著者は、B型人間を理解するためのマニュアルを書き上げた。行動パターンや他人とのつき合い方など数々の項目が、"基本操作"や"外部接続"といった機械のマニュアルのように分類され、当てはまる箇所にチェックマークを入れるようになっている。

『「だから、B型だ」って言うな!』という本が主婦と生活社から。休日の朝日1面の書籍広告欄に堂々と。

「自己チュウ」ともいわれる血液型B型人間のための心理分析本。恋愛、結婚、仕事、対人関係に役立つ決定版。
というコピーで宣伝している。まずは Bで出して,これから A ,AB ,O についても出すつもりなんだろう。
この御瀧政子という著者のオフィシャルサイトなるもの(「オフィシャル」とか「公式」のサイトというが,公的な機関でもなくただの個人企業の宣伝のサイトなのだが)を見ると,占いとカウンセリングと二股。本質的にそれらは違うものなのに。さらに見て行くと,人手が不足しているらしく,「占いライター」とか「電話での占い鑑定(在宅・東京都中央区銀座のサロン)をしていただける方」の求人。ありがたがって本を読んだらフリーのゴーストライターの文章で,かしこまって電話で聞かされた御託宣はアルバイトの主婦の声だったりするという仕掛けらしい。

商品案内を見ると,次のような記述が。

(ゲルマニウムとは) 「半導体」と呼ばれる元素で、30℃以上の温度によるマイナスイオン電子を放出し人間の生体電流に作用します。生体電流の乱れは血液やリンパの流れを悪くし、老廃物が体内に蓄積されるので、疲労感、むくみ、肩こり便秘など、あらゆる病気の原因になります。ゲルマニウムは生体電流の流れを正常に戻す働きがあり、アメリカでは医療用具として保険の適用も認められています。

ホメオパシーの信奉者は,安保徹という人の著書をよく読んでいるらしい。「免疫学問答」,「免疫革命」,「未来免疫学」,「医療が病をつくる」。むちゃくちゃなラマルク主義進化論を唱導する西原克成の「健康は呼吸で決まる」,「内臓が生み出す心」


asahi.com 2007年10月15日08時45分の記事

家族に暴行を加えられた女性が死亡した事件に関与したとして、長野県警小諸署は15日朝、同県小諸市甲の宗教法人「紀元会」の本部に、傷害致死の疑いで家宅捜索に入った。
小さな宗教団体でたまにこの種の事件のニュースは聞くし海外の事例もあるから,その意味では特異な事件ではないと思う。しかし,この教団は何をやって金(信者)を集めていたかというと,実は「水商売」らしい。
 紀元会は同県内などに複数の支部があり、病気などが治るとして「紀元水」という水などを販売し、信者を増やしたという。
昨今とまらないインチキ水商品の跳梁跋扈に目を付けたのだろうか。どういう言葉で売りつけたのかは気になるところだ。

ところで,「紀元水」で検索してトップにでる広告サイト 広告サイト 。これとこの宗教団体で売っていたのと同じなのだろうか。いずれにせよ, 含まれる成分がふるっている。

酵素 リパーゼ、ウレアーゼ、アルコールデヒドロゲナーゼ他
ビタミンビタミンA、ビタビミンB1, B2, B6、B12 ビタミンE、葉酸
アミノ酸アルギニン、リジン、ヒスチジンフェニアラニン、チロシン、イソロイシン、ロイシン、メチオニン、バリン、アラニン、グリシン、グルタミン酸、セリン、スレオニン、プロリン、アスパラギン酸、トリプトファン、シスチン他
ミネラルカルシウム、カリウム、マグネシウム、亜鉛、マンガン、ナトリウム、ケイ素、鉄、ランタン、ストロンチウム、クロム、コバルト、銅、リン、セレニウム他

波動技術実践研究会発足記念フォーラム(9月8日) の記録。船井幸雄が仕組んだニセ科学同盟だ。比嘉によると

私はEMの本質的な効果は、関英雄先生が確認した重力波と想定される縦波の波動によるものと考えています。
だそうで,もうまったくもって沙汰の限り。ところで関英雄というのは何者なのかと思ってぐぐると,「グラビトンの研究で有名な天才科学者」だそうだ。ただしこれは『目からうろこ!健康・美容・幸せ館』というサイトの記事。どうやら正体はかなり昔の通信工学の専門家らしい。おやおやこんな記事もある。とんでもさんはつながっているなあ。

長谷川芳典さんの「血液型」番組における差別と偏見についての一般情報(その3)から引用。

明治図書の「最新歴史資料集」という書籍に、「歴史のヒーローベスト20人」というタイトルで、卑弥呼から西郷隆盛まで20人の人物を紹介するページがあり、全ての人物の血液型が記載されています。卑弥呼はO型、紫式部もO型、源義経はAB型、楠木正成はA型、織田信長はB型といった具合です。
さすがEMや水伝で売っている明治図書だ。


七田式で教育した子どもが予知能力をもったり念力をもったりという,とんでもない話。さすがにここまでくると信用する人間はいなくなるかと思いたいが,この世の中,ありえないウソを信じさせることが得意な連中と,ありえないことを疑いもせず飲み込むのと,どっちも無視できない状況になってきているから,なかなか怖い。


asahi.com の記事

O型の運転者は事故に遭いやすい? 福岡自動車運転免許試験場(福岡市)の講師2人が、「車の事故を起こす確率は血液型ごとに違う」との内容の講習をしていたことが分かった。受講者からは「根拠のない不適切な発言」との批判が出ている。講師は「講習に関心を持ってもらおうとしたが、軽率だった」と話しているという。(中略)
2人は運転免許の更新時の講習で、受講者に「どの血液型が最も事故を起こしやすいと思うか」などと質問して挙手を求めたあと、スライドを使って「O型は最も事故率が高い」「A型は安全運転」「B型はメカ(機械)に強くて自信過剰で、不注意事故が目立つ」「AB型は神経質で疲れやすく、睡魔に襲われての追突事故が多い」などと説明していた。 (asahi.com 2007年07月24日06時16分)
この講師たちは元警官だという。話題に事欠いて受講者の耳目を惹きそうなネタを出したのだろう。もちろんまともな根拠があるわけはない。こんな調子で現役の警官も勤め上げてきたのだろうか。ニセ科学が再生産されていくような状況を,公的な地位にある者が何の自覚もなく作ってしまっている。あげくに人間を先天的な血液型で差別してしまっている,なんという人権感覚のなさ。


右脳教育の[七田チャイルドアカデミー]の質問への回答という文書 を見ると,右脳の能力としておよそ非科学的なことが列挙されている。

右脳には、次のような能力があります。

(1)量を一目でとらえて、多くの数を言い当てる能力(ドッツ)
(2)複雑な計算を計算機より速くやってのける能力
(3)一目で一ページを記憶するようなカメラ・アイの能力(直観像)
(4)ESPの能力(テレパシー、透視力、触知力、予知力など)
(5)語学習得能力(何カ国語でも修得可能)
(6)絶対音感の能力


太り過ぎデート

これらの能力は幼児期なら楽しく遊びながら身に付けることが出来ます。右脳の能力を引き出す秘訣はイメージ力、母子の一体感とリラックスです。教室での適切な働きかけとご家庭での取組により、創造力豊かな子ども達ががたくさん育っています。


テレパシーや透視,予知などができる人はいない。いるとしたらそれはできると思い込んでいる人か,人をだますインチキなやからである。これまで幾多の心理学者や科学者が「真の超能力者」を検証したが,だれひとりとして超人的な能力を持っていることは確認できなかった。


除菌イオンとは|除菌イオン|快適イオン家電:シャープの記事に注目。 堂々とマイナスイオン俗説を紹介して自社製品の宣伝に使っている。

ちょっと笑えるのが,同じページに見える Ag+ イオンコート。これってマイナスイオン信仰の論理からすれば,邪悪な「プラスイオン」だろうが。


きくちさんところでながぴいさんの紹介で Nature所載の批判記事。これは見ておかないといけない。


マイナスイオン業者の大物に取材した記事 として,これは貴重。大事なところを引用しておこう。

「マイナスイオンの第一人者」が四国にいるという。香川県坂出市の「環境・還元イオン医学研究所」の堀口昇会長(70)を訪ねた。堀口氏は鍼灸師(しんきゅうし)出身。約35年前からマイナスイオンの研究に取り組み、92年にはフィリピンで医学博士号を取得。自ら学会を設立して効果をアピールする。
マイナスイオン本の主要な著者である。フィリピンで鍼灸士が取れる「医学博士」なる称号の実体については学位記の内容も含めて取材してほしかった。ちゃんとした博士号ではなく金で買えるようなニセ博士のたぐいはいくらでもあるのだから。
 マイナスイオンは「リフレッシュ効果がある」「血液をサラサラにする」などと言われ、99年ごろブームになった。明確な定義はないが、大気中を漂う帯電した気体分子や原子などに水分子がくっついたものとされる場合が多い。だが、科学者の多くは、その「効能」に懐疑的だ。
堀口氏は研究所で、自ら開発したマイナスイオン発生装置の仕組みを説明した。軽石の粉末が詰まったプラスチック製の小箱。電圧をかけると「軽石の中で電子が激しい運動を起こし、コードの先の極板から空気中に出る際、水分子などと結合してマイナスイオンになる」という。
軽石のかけらがいくら振動したところで,電子は原子から離れたりするわけではない。そもそもエネルギーレベルが違いすぎる。地球の潮汐力で頭の虱が振り落とされるよりもありえない話。要するにデタラメな思いつきでしかない。
 「これは地球内部と同じ現象を再現している」と堀口氏。納得しない記者に「いろんな科学者がここへ来たが、原理が分かった人は一人もいない」とほほえむ。この仕組みを使った治療器「Miエナジー」は1台136万5000円。約7000台を売り上げた。
「原理が分かった」と思う人間がいたら,それは科学者じゃない。それにしても嘘の機械でこれだけの商売をするとは!これは悪徳商法であるとしかいいようがない。とはいえ,この数字が本当なら100億近い売り上げになる。本当だろうか?誇張しているのではないか。

この考察 は重要。

「マイナスイオン」のひところのブームは去ったようであるが,これを好機と考えていま一度じっくり考えてみよう。まず,「マイナスイオン」は明らかに正確な用語ではない。科学文献でいわゆる「マイナスイオン」に相当するものを指しているのは「大気陰イオン negative air ion」であると考えられる。ここでは大気陰イオンのことと考えて話を進める
ブームは深く浸透してしまっているというのが実情だと思うのだが。ともあれ,まじめな人がここにもいることは心強い。


もちろんまったくの嘘ですが,堂々と大阪の某社のマイナスイオン商品の宣伝の公開文書にそんなことが書いてある。なんともはや。高校の化学を勉強しなおしてほしいぞ。


TouTubeの記録 。よくまとまって説得力のある解説です。NHKは人に見られていないところで良心的に振舞ってたりするんだよなあ。


戦わない殺さない文化の種まき というスローガンを掲げる光フォーラムという団体があるらしい。江本勝や七田眞らカルト的な言説を振りまいて教育界に浸透しようとしている面々が名を連ねている。

この種の「戦わない」とか「殺さない」とかいったスローガンは,たとえば生長の家のような宗教団体も唱えていて,そのくせ反戦平和の主張には敵対するという矛盾した行動をとっていたものだ(今の生長の家は教祖が代替わりしてかつての右翼宗教とは様子がちがうらしいが)。 光フォーラムの方々も,戦わない,殺さないなどといいながら,イラク攻撃に抗議したり憲法改悪に反対するといったことは,寡聞にして聞かない。無力に「祈るだけ」で何かがよくなるといいふらして,内実は権力にすりよることばかりというのが,この手の通り相場である。

まあ「闘わない」というのは,権力に屈従して一切抵抗しないってことなのだ。労働者がストライキで資本家に対抗したり,国民がデモで悪法に反対するような闘いを抑えるための スローガンだったりするわけだ。昔我が家は生長の家にはまっていたことがあるので, そのへんはよく分かる。



TRANQUILITY THROUGH APPLIANCES と題した要約記事。

Published on: 6/13/2002 Last Visited: 6/13/2002

Kazuhiko Zushi, supervisor of marketing at Matsushita, stresses that his company only tells buyers the machines release negative ions, which are plentiful in natural settings, but stops short of claiming health gains.

"We are not selling a medical product," Zushi said. "If scientists one day prove health benefits, then that would be different, but we are not pushing that now."

The fad has yet to be exported from Japan. But the ionizers are catching on fast in this conformist nation where each new year brings an accompanying fad - Pokemon, pet robots, bottled Chinese tea, skin-whitening soap.

For its part, Toshiba Home Technology Corp. is selling fans and dehumidifiers with the negative-ion feature.

元記事のキャッシュ

TRANQUILITY THROUGH APPLIANCES

Negative ion fad has positive results for Japanese electronics makers

Yuri Kageyama, Associated Press

Believers say negative ions do everything from boosting your car's gas mileage to guarding against muscle fatigue.

June 10, 2002 ― 2:17 a.m.

TOKYO ― Gadget-loving Japan is hooked on a new fad ― hair dryers, air conditioners and other electronic goods that some buyers swear deliver the soothing mood lifts of negative ions, those invisible bits of matter swarming under waterfalls and trees.

Whether it's solid science or simply bunk doesn't matter to Kimiko Ishikawa, who recently bought an air purifier from Matsushita Electric Industrial Co.

The 39,800 yen (320 dollers) machine not only freshens up her home with a regular filter, it also comes with a special feature that fills the air with feel-good negative ions, or electrically charged atoms.

"When I get mad at my kid, she tells me the negative ions don't seem to be working," the 46-year-old housewife said. "But if I hadn't bought it, I'm sure I'd have regretted it, wondering what the negative ions were like."

These days, negative ions are popping up everywhere you go.

Jewelers are pushing necklaces of tourmaline, a stone believed to release negative ions. A scalp-cleansing brush promises to wipe out dandruff with negative ions. A public bath in Osaka, in central Japan, offers a tub brimming with negative ions to get blood circulation going strong.

Believers say negative ions do everything from boosting your car's gas mileage to guarding against muscle fatigue.

Scientists are less sold on the fad.

"It's similar to a cult religion," said Hisakuni Sato, a professor of analytic chemistry at Yokohama National University. "A waterfall feels good because the air is clean, trees are nearby, the temperature is cool ― the total environment of nature."

There are simply no empirical data to back up any positive health effects of negative ions, Sato said.

But that hasn't stopped Japan's electronics makers from coming out with an array of gadgets singing the virtues of negative ions.

Three of the top five best-selling air purifiers in May carry the negative ion feature, according to GfK Marketing Services Japan, which monitors nationwide product trends.

Akihiko Oiwa, spokesman for Sanyo Electric Co., which makes fans and air conditioners that scatter negative ions, said manufacturers feel pressured to add the latest features to woo consumers.

"We don't know the effects of negative ions for sure. But they aren't harmful," Oiwa said.

Negative ions are molecules with an extra electron that gives them a negative charge, and positive ions are those with an electron missing. Ions are formed when an energy source such as light rays, a strong waterfall or a thunderstorm knocks off electrons.

Positive ions are associated with bad things, like dust and pollution, while negative ions are plentiful in refreshing places like a waterfall.

There's nothing natural about the negative ions that emanate from the new gadgets. They are usually produced by running a strong electric current through a thin piece of metal, which sends charged atoms into the air.

Kazuhiko Zushi, supervisor of marketing at Matsushita, stresses that his company only tells buyers the machines release negative ions, which are plentiful in natural settings, but stops short of claiming health gains.

"We are not selling a medical product," Zushi said. "If scientists one day prove health benefits, then that would be different, but we are not pushing that now."

The fad has yet to be exported from Japan. But the ionizers are catching on fast in this conformist nation where each new year brings an accompanying fad ― Pokemon, pet robots, bottled Chinese tea, skin-whitening soap.

For its part, Toshiba Home Technology Corp. is selling fans and dehumidifiers with the negative-ion feature. Hitachi Home & Life Solutions sold 100,000 negative ion hair dryers in the first five months since they went on sale, about four times the company's target.

Hitachi and Matsushita are planning a negative ion vacuum cleaner.

Tokyo electronics store Yamagiwa has set up a special display section, complete with a water-filled pot and bamboo ladle, to showcase negative-ion products, including a 450 yen (3.60 dollers) back massager.

Risa Ogi puts negative ion rocks by her bed to sleep better and believes the popularity of negative ions shows how overworked people are worried about their health.

"Of course, you can't ever tell if it's really working," said the flight attendant, who just bought a negative ion hair dryer.

Monday, June 10, 2002


田崎さんの労作「水からの伝言」を信じないでくださいが公開開始。どんどんリンクしてあげてください。


ハイジーンって hygiene(保健学)という意味だとはぜんぜん知らなかった。どうせ今どきのバイオ系からぱくった high-gene あたりの造語だろうと思ったのは大失敗。われながら無知だなあ。

といいながら,NHの本家のサイトを見ないわけにはいかないので,検索して見つけて覗いてみた。ふむふむ,実は昔からある団体じゃないか。分派もいろいろあるらしい。


環境を救う水"ディレカ"の販売のページにある ディレカの願いという 記事では,温水便座の普及率と,直腸,胃,結腸のガンの「増加のグラフ」を並べて, 両方とも80年ごろから曲線が同様に上昇しているとして,温水便座で尻に 水道水を掛けることがガンの原因になっていると暗に示している。言質を掴まれないために 直接にはそう書いてないところが狡猾でいやらしいところだ。なお,上記ページでは左右を逆に書いているが,タイプミスだろう。

このように2つのグラフを並べて,さも因果関係があるかのように主張するのは,古典的な 統計によるウソの手法なので,多少ものが分かっている人はそのことを指摘するに違いない。ところが,このサイトのデータはそれ自体が捏造なのだ。

国立がんセンターの統計をみてみよう。 各部位ごとのがんの死亡率と罹患率の推移をみると,なんと,上記のガンは減少または横ばいだ!

で,またディレカの図にもどってよく見ると,ガンの増加のグラフが2本引かれている。1本はぐぐっと上がっているがもう1本はほぼ水平。なんじゃこれは!???めちゃくちゃではないか。



ニセ科学フォーラムの提案資料を公開します。 「マイナスイオン」どこがニセ化学か


ディレカの体験記を見つけて菊池さんのブログに書き込んだあと,この体験記が Google 検索でなんと6位に上がってきた。人気ブログランキングでも6位。 「ヨイショ記事」でない貴重な実験の記録であるだけに,これはよいことだ。

ところが,このサイトはどういうわけか Google 検索に引っかからなくなっている。 いま,見ているこのページにある単語を選んで検索しても出てこないのだ。文書が長くなると落とすのか?個別に内容で選別する仕掛けなど作れるわけもないし,大したことも書かれていないのだから,シカトされてるわけでもないだろうが,気になる。


船井幸雄のサイト

これに対する決定的な証言が記録として残されている。 僕のおしゃべり

もっとも,この証言の記録者はニューエイジかぶれらしく,未練たっぷりに次のような 述懐を残している。まあ,だからこそ河井雅雄の証言の重みがあるのだけど。

でもね、百匹目のサル現象のようなことがあったらいいなぁというあこがれは、僕の胸から消えないでいる。河合先生のいうとおり、ライアル・ワトソンのかっこいい言い回しに毒されているのかなぁ。    

ディレカなる水系商品がTAMURA System というメーカーから出ているらしい。 話を聞いただけでもちょっと怪しげに思う。

ともあれ,いきなり断定せずに言い分を見てみよう。まずここ

普通の水道水で洗ったコップにディレカのお水を入れる。クサイ!捨てる。二杯目クサイ。もう一度捨てる。三度目、ディレカのおいしいお水の味がしてきます。
これは、私たちにはわからないレベルで容器に残留している塩素をディレカ水の細かい粒子が洗い流している現象です。
単純にウソです。コップの中に臭うほどの残留塩素が残っていたら,最初から臭う。 少量の水道水に何かを入れて臭うほどの塩素が発生したりはしない。もしこれがホントに起きたら, 後からコップに入れた物質つまり「ディレカのお水」に含まれていたとするのが, もっとも確からしい結論ではないだろうか。
ある程度、油がついたものを入れておけば、ディレカ水の力によって、洗剤なしでさらりと洗い上がります。次代の子供たちのために、洗剤を使わずに…。排水された水は、その水を浄化していきます。なるべくたくさんの家庭で使いたい物ですね。
水系の溶液で油を溶かすのは界面活性剤だ。つまり洗剤。そんなものを飲ませようというのか?とはいえ,これは「ある程度、油がついたもの」の程度次第で,少しだけ付いたものならお湯で洗い流せるというという類の話にちがいない。
発酵などをよい方向に促進させてくれる、つまり、腐敗菌などの微生物が活動できないような状態にしてくれます。
ありがちなウソです。微生物にとって自分たちの生命活動が人間につごうがいいかどうかという方向付けは不可能なのだ。腐敗も発酵も彼らが物質を分解してエネルギーを得ていくための活動であって,たとえば嫌気的,好気的といった活動環境による区別はありえても,人間に都合の良い方向の活動が起きて,その反対が起こらなくなるなんて無理。 「人間に都合のよいことが起きる」という売り文句をみたら,最初から眉に唾を付けよう。

次にこの「TAMURA Tube(ディレカ)のしくみ」


ヤフー不安抑うつ群
ディレカのパイプの中を水が通ると、静電気が起きます。この静電気のプラス電荷をパイプの外に逃がし、マイナス電荷の水だけがパイプの中を通過します。また、アクアアトムという特殊な材質から放出される光線(ホルミシス)と電子を水が受け取り生命に優しい水になります。
ナンセンスです。どうしてこの商品の説明はどこを見ても徹頭徹尾ウソとデタラメに満ちているのだろうか。

電荷が分離するためにエネルギーが必要だ。しかもそれは半端ではない。仮にここで書かれているのが電気分解を意味するとして,水の1%を電気分解する ためのエネルギーを熱で補給するとしたら,水はすっかり蒸発してしまう。運動エネルギーで補給しようとしたら,ジェットエンジン並みのパワーが必要になるだろう。とは いえ,それで電荷分離なんか引き起こせないけどね。 もちろんプラス電気だけを通す膜なんてありません。陽イオンあるいは陰イオンだけを通過させる 膜はあるのだが,そのためには電気エネルギーを外から与える必要がある。

「アクアアトム」って,水(アクア)原子(原子)という造語らしいが,そんな物質は ない。これもウソ。このサイトの文章も画像も,どこをどう切ってもデタラメしかみつからない。無知な人間をだまそうという意図で書かれた詐欺商法の典型的な文章である。

しかし,それにしてもディレカで検索したときに出てくる「よいしょサイト」の多さは どういうことなのだろうか。今どきドメイン名などは束にして売っているので, 100やそこいらのドメインを使って,トップに「ディレカ」を入れておけば, 検索トップに来るようにはできそうだ。どうもこのやたらに沢山のサイトにヒットする こと自体,ちょっと面白い考究の対象になるかもしれない。卒論のネタにでもできない だろうか。


阪大の菊池誠さんのブログで,

これだけはハッキリとわかりました、「社会はニセ科学をきちんと『ニセ科学だよ』と言ってくれる人に飢えている」ということです。
という感想。そうなんだろうなあ。しかし,それでいいのだろうか?

ニセ科学にだまされないためには,個々の科学知識などよりももっと大切なものがあるはずだ。それはおかしな主張を疑う心だ。なんだか変だと思ったら立ち止まること。 主張している人の結論ではなく,その意図を考えてみること,特に商品を売ろうとして 主張している場合には。

ちょっとした 推論を適用して「もし本当にそうだったら・・・」と演繹してみること。 「そんなうまい話はないだろう!」と口に出すことをはばからないこと。 そんなことは科学知識などなくてもできることではないのだろうか。 もっとも,それこそが科学的なものの考え方なんだよね。細部にこだわることはかえって 全体を見失わせることになりかねない。



これがなかなか「ゆるい」。水の性質を解説するのに,u,d のクオークで陽子と 中性子ができているという「哲学」から始まって,そのためにわざわざ図版が登場して いる。

しかし,水の性質がどのように説明されるかということを考えるのであれば, クオークを持ち出して,「水分子の構造の階層性」などともったいをつける必要は ない。 必要な物理量は,酸素および水素の原子核,それに電子のもつ,質量,電荷, スピンだけで終わり。物理的にいえば,それ以外には何もないのだ。

要するに小川は,原稿の字数を埋めるためだけに,関係ないクオークの話まで 入れているのだろう。


注文していたマイナスイオン関連の本3冊がそろった。

  • 『大気電気学概論』, 日本大気電気学会,コロナ社
  • 『空気マイナスイオン応用事典』,琉子, 友男,佐々木, 久夫,日本住宅環境医学会,人間と歴史社
  • 『空気マイナスイオンの科学と応用 : 次世代新産業創出のための空気イオンの応用技術を求めて!』,イオン情報センター,イオン情報センター
締めて8万円余り!研究費が・・・
それよりか悲しいのは,この夏は山本義隆の大著「熱学思想の史的展開」に読み耽るつもり だったのに,その時間が減ることだ。

正式版が登場したので,それに合わせました。


新理科教育フォーラムは、下記の通り、ニセ科学フォーラムを京都・東京で開催します。

具体的なニセ科学を例にしながら、ニセ科学が跋扈するのはどうしてか?
どうニセ科学と向き合うとよいのか?
騙されないセンス、リテラシーを育てるには?
などを一緒に考え合いませんか

ニセ科学フォーラム@京都

●8月26日(土)13:30〜17:50
●京都会場:同志社女子大学今出川キャンパス(心和館 大講義室)
 (今出川通り:地下鉄今出川駅歩5分、京阪出町柳駅歩10分)

 会場マップNo.8心和館大講義室(正門を入り、右へ少し行って左折。女子中高とテニスコートの間を北へ)

ニセ科学フォーラム@東京

●9月2日(土)13:30〜17:50
●東京会場:学習院中・高等科(501・502教室)
(JR山手線目白駅徒歩5分、都電荒川線鬼子母神電停徒歩7分)
会場マップ(目白駅改札を出て右〜出口は1ヶ所〜、2つ目の信号前の正門を入り斜め左へ)

※お車でのご来場はご遠慮下さい。

●日程(京都・東京共通)
13:00〜受付
13:30〜14:20 ニセ科学と科学技術リテラシー(左巻健男,同志社女子大学現代社会学部)
14:30〜15:20 『水からの伝言』のニセ科学(菊池誠,大阪大学サイバーメディアセンター)
15:30〜16:20 「マイナスイオン」どこがニセ科学か(小波秀雄,京都女子大学現代社会学部)
*以上は40分提案 10分 質疑
16:30〜17:50 大討論
●参加費:無料

●申込先:E-mail:rika9br/>参加ご希望の方は必要事項をご記入のうえ、京都会場は8月19日(土)、東京会場は8月26日(土)までにE-mailにてお申し込みください。
会場の定員となり次第締切とさせていただきます。
※当日は、E-mail返信でお送りする受付番号を必ずお持ちください(例:「京都13番 左巻健男」など)。
申込E-mailの題名は、ニセ科学フォーラム(京都あるいは東京のどちらかを記入)としてください。本文に、

・8/26京都あるいは9/2東京
・お名前
・所属(勤務先など)
・電話

・返信受け取り用E-mailアドレス

をご記載ください。2人以上でお申し込みの場合は、一人一人別々に以上の内容をご記載願います。
※お送りいただいた個人情報については、本フォーラムのためにのみ使用するものとします
●JST研究開発テーマ:「21世紀の科学技術リテラシー」中の「市民の科学技術リテラシーとしての基本的用語の研究」(研究代表:左巻 健男[同志社女子大学現代社会学部現代こども学科・教授])の研究の一環として開催。
●共催:新理科教育フォーラム(代表:左巻健男):新理科教育MLを運営


吉岡英介事務所サイトの 「マイナスイオン水」の科学的原理

これ(マイナスイオン生成器)に水を通すと、水は一瞬にしてマイナスイオン水になり、 その水を空気中に噴霧するとたくさんのマイナスイオン水が検出されるようになります。 どうしてそうなるのか、その原理はまだ解明されていませんが、 さまざまな実用例から推論すると、 水道水の中の不純物がなんらかの電気的な変化をするというよりも、 ひとつひとつの水の分子そのものの、軌道電子の状態が なんらかの形で変化するのではないかと考えられます。
科学的知識ゼロで論外。一言で終わりだ。あとはニセ科学商品を売るための宣伝だけ。もちろん,細かく突っ込めば,いくらでも この人の主張のニセ科学ぶりは論証できる。

  • 日本物理学会2006年秋季大会(9月20日(水)―23日(土)、奈良女子大学)
  • 言葉が水の氷結状態と水中元素濃度に及ぼす影響
  • (九大院工)高尾征治・○川添淳一・(アイエイチエム)江本勝・ (ホワイトマックス)増本勝久・(IHMテック)里中耕也・(サロンドジャン)石田静子
申し込み要旨
江本は独自の水の氷結技術を開発し、水の氷結状態が言葉の影響を受けて多様に変化することを示した。ここでは、それに対応して水中に微量含まれる元素濃度がどのように変わるかを調べてみた。その結果、「ありがとう」、「ばかやろう」の日本語だけでなく「Thank you」,「You fool」の英語でもカルシウム元素が同じパターンで変化することがわかった。

  • 世界日報の記事:
    今週のイチオシViewpoint ■科学者等から現れた科学革命運動  京都大学名誉教授 渡辺 久義 科学界の唯物論「帝国主義」を批判 禁じ手あってならぬ真理探究の道 唯物論的前提への批判の反動
     誰がどう考えても、生命とか進化とか心(意識)の問題を物理力だけで説明できるとは思えない。この宇宙の本質は創造であって無目的の機械作用ではないことは直観でわかる。
    どういう「直観」してるのかな?
  • 産経新聞,2005.09.26 ■「反進化論」米で台頭 渡辺久義・京大名誉教授に聞く
     ――日本の学校でも教えるべきですか?

     思考訓練として教えるべきです。でないと日本人の頭は硬直したままです。それに「生命は無生物から発生した」「人間の祖先はサルである」という唯物論的教育で「生命の根源に対する畏敬(いけい)の念」(昭和四十一年の中教審答申「期待される人間像」の文言)がはぐくまれるわけがありません。進化論偏向教育は完全に道徳教育の足を引っ張るものです。

  • 創造デザイン学会(ID 推進派の学会)
  • 代表あいさつ(渡辺久義)
    いわゆるアカデミズムの底流をなしている三つの思想があります。マルクシズム、ダーウィニズム、フロイト思想で、これらが直接、あるいはさまざまに形を変えてアカデミズムの基本体質を作っています。そして大学から流出したこうした唯物思想が、権威を帯びて社会一般の風潮を作ることになるのです。
    すごい現状認識だ。こういう人が「偏向」といって攻撃の対象にしているもののほうが, よっぽど世間並みでノーマルだろうと思うなあ。
以上,ちょっと検索してみた結果では,どこも渡辺久義だ。産経&統一協会製造の渡辺金太郎飴というとこらしい。非ダーウィン進化で育ったらしいアメリカ産牛肉の匂いがぷんぷん。

水伝とマイナスイオンというふたつのニセ科学トピックは,かなり異なった側面を もっているようだ。どっちかというとマイナスイオン系のインチキのほうがよほど 悪質で,反駁するのがめんどうだと考えていたのである。ところがどっこい。 水伝のほうがヌエのごとくにたちの悪い様相を帯びているのかもしれない。

マイナスイオンは科学のふりをした道具立てである。マイナスイオンと呼ばれる 大気中の帯電微粒子はそれなりに存在している。まあ雷が発生するのだって, 水滴が帯電して上下運動をするからだから,2つの物体の間に物理的,化学的な非 対称性があれば,電荷が分離することはあるわけだ。科学と縁が切れるのはその先のこと。 ありもしない効能をでっち上げるところからニセ科学の領域が始まる。

水伝は徹底的にニセ科学である。だいたい首謀者の江本勝自身が科学ではないと 言っている。これはロマンだ,心だ,ファンタジーだというわけだ。つまりは 演出された映像に現実にはありえないシナリオをくっつけてプロモーションして いるのであって,ものの分かった大人であれば笑って遊べないこともないネタな なんだ,これが。

しかし江本は引田天功やミスターマリックとはちがって,自分の捏造ネタを 事実と偽っている。詐欺を働いて金を儲けているのである。構図からすると これは簡単だ。現実にありえないことが明白なのだ。この問題に関しては, 科学的判断はまぎれもなく正しいのである。

しかし深刻なことに,このウソが見抜けないほどにこの社会は病んでいるらしい。 芸能人からソトコト族まで,ぼんやりとしか物事を考えずに「そんなことがあるんだ」と 本気で信じ込んでいく人々がいくらでもいる。それどころかマスコミがそれを助長する 始末。ウソを見抜けないお人好しが餌にされ,あげくに他人をまた詐欺師に売り渡しているの である。


有限会社ユニバーサル企画発行のパンフレット『マイナスイオンの知恵袋―質問と回答集』を見ると,最初に【人体への作用】という一覧表がある。下にそれを引用した。

この表を見て分かることは,マイナスイオン=善,プラスイオン=悪という善悪二元論が 徹底しているということだ。とにかくマイナスイオンは「善いもの」,「好ましいもの」であり,プラスイオンはその敵役なのである。マイナスイオンたっぷりの食べ物でもあれば,あるいはマイナスイオンたっぷりの空気でもあれば,それはすばらしく健康によいものであるということが,この一覧表から導かれるというわけだ。なんて分かりやすい!

あるものが全面的にいいものであり,その反対物が存在してそっちは完璧に敵役 をしているなどというのは,物を考えさせないで単純な結論を煽るデマ宣伝の常套手段である。極右や極左の政治宣伝でもそうだ。いまどき流行らない,といいたいところだけど,世の中を見ればガキのマンガみたいな単細胞な主張が世の中に溢れかえっている 事態になってしまっている。その中ではむしろこういう「分かりやすい」ものが受け入れられる土壌はしっかりと醸成されてしまっているのだろう。二元論の虚構で儲けているのは,マイナスイオン業界だけじゃない。

ところでこのパンフ,マイナスイオン,プラスイオンとは何かということが,どこにも説明されていない。化学の教科書では,負のイオンのことはマイナスイオンではなく「アニオン」という。したがって硫酸イオンとか塩化物イオンのように負の電荷を帯びたイオンのことではないのかもしれない。そこでで探してみると,「空気イオン」というのが,ここで言及されているものらしい。まあこれについては,他の資料に当たることにしよう。

パンフはその後で,マイナスイオンの発生器具を買うときの留意点についていろいろと 説明している。要するに発生器具を売るための誘導を行っているわけだ。



項目 マイナスイオン プラスイオン
一般概念 沈静的作用 刺激的作用
催眠作用 不眠作用
鎮痛作用 頭重・頭痛作用
食欲亢進作用 不快作用
血圧 降下 亢進
脈拍 減少 増加
呼吸 沈静 促進
毛細血管 拡張 収縮
血糖 減少 増加
疲労による血液乳酸量 正常化加速 正常化遅延
人工的貧血 回復作用あり 回復作用著しくあり
血清表面張力 上昇 低下
血液酸素 正常および減少 増加
酸素消費量 減少 増加
利尿作用 促進 抑制
尿窒素 増加 減少
便通 秘結性に傾く
疲労 疲労防止 疲労促進
好影響 不良影響
実験的壊血病 発生阻止 発生促進
回復促進 回復遅延

下のカラーセラピーのサイトから。

まったく同じ形をした同じ重さの箱を2つ用意し、それを白と黒に塗りわけてどちらが重いか比較実験をすると、黒は白よりも8倍も重く感じるという測定結果がでるそうです。また白と赤の比較で赤の方が重いと感じた人は、全体の53パーセント、黒と黄色では黒の方が重いと感じた人は、全体の58パーセント。このように、色彩の軽重感は明度に支配されているといえます。
これって,やってみればすぐにウソがばれるはずだな。8倍!

実はこの引用の上にある段落では目隠しテストしている。だからここでも目隠しなのかと思ったら,目で見ながらやっているようにも読める。条件をきちんと書かないでごまかしている わけだ。目で見て,暗い色の方が重そうに見えるという心理的な傾向は,あってもぜんぜん不思議じゃないよね。だからどうなの?というやつ。

と書いたところで,これもソトコトの広告に出ていたことを思い出した。


カラーセラピーなるインチキ療法もあるらしい。


金八先生のドラマを成立させている重要な要素はどこにあるかというと, それはたぶん,主人公の繰り出すことばの力だと思う。いわゆる熱血教師として 金八をとらえている視聴者が多いようなのだが,そこだけを見てしまうのは, 情緒的で没論理的な受け取り方になってしまうのではないだろうか。

あのせりふはもちろん,シナリオ作家が熟考しながら考え出したものであって, 現場にいてあれだけ膨大な言葉を的確に繰り出すことは,ふつうの教師に出来ることでは ない。金八がドラマの中で発することばを教師が実際に発することができるようだったら, 日本中のたいていのクラスは問題を起こさないだろう。

なぜこんなことを書き始めたのかというと,この国で子どもや若い人たちに対して 何かを伝えようとする側の人間が,あまりにも自分の言葉をもっていないことに, 水からの伝言やゲーム脳の恐怖といったニセ科学の蔓延の下地があるのはないかと 思うからなのだ。親にしろ,教師にしろ,あるいは教育に介入したがる オヤジやオバンたちにしろ,子どもと向き合った会話の中で,自分なりの 筋を通して納得させるだけのことばの力を持っていない。そのために, 昔は蒙古だのヤマンバだの実体のない脅しの材料を使って従わせようとしてきた。 今はそれがゲーム脳だったり,美談としての水への「ありがとう」だったりするわけだ。

そんなくだらないウソで,人間にとって大切なことを教えようなんて思わないでほしい。 勉強することは自分自身の成長のために大事なことなんだから,ちゃんと時間をとって勉強しなさい。体を鍛えるために,人と上手に付き合っていくために,仲間同士で遊んだりけんかしたりしなさい。他人を思いやることは回りまわって自分のためになるのだから, ふるまいに注意しなさい。・・・等々,単純にその本筋に沿って教えればいいではないか。そのために,ウソを使わないことばの力を鍛えようよ。

ウソで教えようとするから,子どもたちはそれを見抜いてそっぽを向くし, それどころか本当に大事なことまでゴミのように投げ棄てるようになってしまう。どだい大人の側が最初から敗北しているのだ。


この記事の著者は,奈良女子大で開かれる秋の物理学会(宇宙・素粒子)で,なかなか壮絶なテーマの発表をするらしい。それについては別稿で触れることにして,この記事の中での武谷三男の三段階論の借用についてひとこと書いておこう。

武谷は著書『弁証法の諸問題』の中で物理理論の発展の三段階論を展開している。物理理論は「現象論」,「実体論」,「本質論」という3つの段階を経て完成していくというもので, ティコ・ブラーエやガリレイの観察や洞察,ケプラーによる法則化,ニュートンによる普遍的な力学の確立といった流れを想起すれば,それなりに自然な分析にもとづくものだ。彼が依拠していたマルクス主義の立場から,科学理論の発展を唯物弁証法のことばで語ったともいえる。

ただし武谷がきちんとした科学論を展開できたのは,坂田昌一門下のれっきとした素粒子物理学者として業績を上げられるだけの力量をもっていたからである。物理は分からないが科学論はできるなどというのは所詮まがいものなのだ。

さて,冒頭にリンクした高尾氏の文章はどうだろう。

その後、僕は、新しい哲学的礎のもと精神世界(虚空間)と物質世界(実空間)の間でどのようにエネルギー情報が交換されているか?その科学理論の構築にチャレンジした。それこそ常温核融合、正確には周囲常温局所高エネルギー原子転換にほかならず、それを専門の化学工学会、千島学説研究会、ナノ学会、日本物理学会などで研究発表しながら、量子水学説として体系化した。
それは、著名な物理学者、武谷三男博士の三段階論に沿って、現象論(量子水理論)から実体論(ニュートリノ形態波動共鳴説)を経て本質論(酵素・触媒作用の量子エネルギー的本質の解明)へと合法則的に展開された。とりわけ、実体論としてのニュートリノ形態波動共鳴説は、まず、ニュートリノ励起原子ラジカルの発見(2003年)に始まり、ニュートリノ形態波動共鳴のアイディア(2004年)を経て、ニュートリノゼロ点経由創生の発見(2005年)で、ほぼ完成の域に達している。    
前半は妄想である。論外として切り捨ててよい。こんなものは科学でもなければ哲学でもない。

後半の三段階はどうだろう。武谷は物理理論を歴史的な発展段階の中で捉えて,段階を明示した。しかし,高尾氏の「量子水理論」はいったいどのような経験的現象の集積段階なのか?「ニュートリノ形態波動共鳴説」っていったい何なんだ?実体もへったくれもない誰も知らない「説」にすぎない。「酵素・触媒作用のなんたら」に至っては,分野がそもそも生化学系じゃないか。どこが本質なんだか,もうむちゃくちゃである。

この御仁の業績には,まともなレフェリー付きの論文誌のものは何もないようだ。本人が主張するような「学説」がそれなりに説得力のあるものであれば,Nature でも Science でも なんでも,とにかく世界一流の雑誌に取り上げられて彼は大変な名声を博している はずだし, こう言ってはなんだが定年まで助手にとどまることもないだろう。

あちこちのブログによると,この高尾氏の奈良女子大での発表は,例の「水からの伝言」の江本勝の「水にありがとう」効果の実証だそうだ。共同研究者に江本も名を連ねているらしい。似合いのコンビによる発表である。が,武谷三男の名前を借りるなどはあまりにも失礼な話だ。


パラサイト式血液型診断〜藤田紘一郎がトンデモさんリスト入り? という記事。まあ,この寄生虫博士の「寄生虫嫌悪の清潔志向=アトピーの原因」説には 胡散臭い感じがしていた(だったらとっくに寄生虫療法が普及しているはず)ので,特に驚くほどのことはないのですが。


書店で竹内久美子の新刊が並んでいたので立ち読み。Y 染色体は男系を通じてのみ伝わるということを解説した上で,男系天皇制を主張する超保守系論客の言い分に科学的根拠があるとほのめかしているくだりだけを読んで帰ってきた。

竹内久美子の論点の誤りはいくつもある。まず,現在の日本で天皇家と遺伝子を共有している日本系男子の人数は莫大なのだ。もっとも,「遺伝子の共有」という点だけならもちろん生物はみんなだけどね。生きているものはみんな兄弟なのだ。だけどそんなことを言っているのではない。「天皇の血筋」のはなし。

仮に1代あたりの息子の数を 1.5 人としてみよう。昔は子どもの数が多かったし,天皇家に限らず金と権力を持てば,側室だ大奥だ妾だとせっせと後継者作りに励んできたのだから,権力者の家系ではごく控えめな数字だ。それでも100代後の男子の数はというと,

$1.5 ^ 100 = 4.1 \times 10^{17}$
となって,世界中が神武天皇の子孫となって皇統はいやがうえにも栄えているわけです・・・と,とうぜんこれは冗談。計算どおり単純に広がらないのは, 子孫同士の婚姻があれば拡大が止まるというのがひとつ(もうひとつはここでは触れません)。つまり血族結婚で権力を独占しようとする政略。自然に反し,遺伝的に問題のある子孫製造を繰り返してしまって 現在があるわけだ(それがあって現天皇の嫁さんは「民間」の企業経営者の娘から選ばれたし,いろいろと苦労しているらしい雅子さんも「民間人」の娘)。

というわけで,天皇の男系の血筋で DNA 鑑定でもやれば,いくらでも適格者がいることになる。何を隠そう,わが家系だって桓武天皇だか清和天皇だかに遠くさかのぼることができるということが,400年ほど前から伝わっている系図に書かれている(真偽は分からない)。だからY染色体上の 遺伝子の継承の仕組みをいくら言い立てても,ひとり男系天皇だけが遺伝的に正統であるという主張はどうやっても支持されるものではありません。それに対して「いやそんなに広がっているわけではありません。天皇の血縁はやんごとなき家系にだけ残されてきたのです」などと言おうものなら,近親結婚の呪いから逃げられないロジックに頼ることになる。

もうひとつ。Y 染色体を言うなら,もっと大事なのはミトコンドリアでしょう。 ミトコンドリアイブで有名になったように,この細胞器官は卵子のみから 子孫に伝えられる独立の遺伝系統をもっていて,母系によってのみ継承される。 ミトコンドリアは細胞の活力を支えるエンジンといってもよい重要なものだ。 さて,ミトコンドリアと Y 染色体とどっちがえらいか?

軍配はミトコンドリアに挙がるのですねえ。Y 染色体上には生命の維持に必要な 遺伝子は何もない。あったら,それを持たない女性はみな生きてられない。 胚形成期に男性器の形成の引き金を引くための遺伝子を伝えるのが主要な役割なのだ。それに 引き換え,ミトコンドリアは細胞のパワーを支えている働き者で,男も女も自分の母から,母方の祖母から伝えられたミトコンドリアのおかげで生きている。

要するに,天皇制の正当性あるいは男系天皇が正統であるという主張について, 科学的な立場からなにか根拠を与えようなどということをしてはいけない。 それは政治的な立場だけで,つまり社会的な有用性の議論として展開されるべき性質のものなのだ。 いまどきの時流でどうやらこれから権力を強めそうな勢力に擦り寄ろうとして, 竹内は科学を貶めている。


1996年に日本土壌肥料学会がシンポジウムを開いていて,その報告書が 出されている。

講演資料

時期的には,琉球大の比嘉教授による「EMは地球を救う」であちこちで信奉者が生まれていた ころのことだ。そこで農学 研究者が微生物(もちろんいわゆるEMも試している)を土壌に添加して,その残留の 様子などを調査した研究をシンポジウムで公開したものだ。結果を一言で要約すると, 「添加された微生物はほとんど残らない」ということに尽きる。

座長の茅野氏による序文には次のようにある。

有用な微生物を土壌で機能させるための手法はまだ確立していない。土壌には多くの微生物が環境に 適応して生息しているので,人為的に繁殖させた微生物を土壌に添加しても その環境に適応するまでに大部分死滅してしまうと予測される。
そして,研究発表の内容も,微生物を土に入れても,そう簡単に有用な効果をもたらすことはないということで一致している。ある意味当然の結果である。

とはいえ,シンポジウムの姿勢として, 微生物資材の利用を全面的に否定しているのではなく,十分な検証を行いながら研究を進めて,真に有効なものが開発されることへの期待は表明している。


最近,EMせっけんなるものが売られているんですけど一体意味があるんでしょうか,ということをある人から聞かれた。EMというのは「有効な微生物群」ぐらいの英語からの略称らしい。これは10年以上も前に,「地球を救う」といった本だの,「ガンが治る」だのという信奉者の言葉に胡散くさい話だと判断した。ここではその話に深入りするのは止めよう。しかし,EMが教育の現場や地方行政の中で結構な影響力をもって 実践されたりしていることには言及しておかなければならない。たとえば下のサイト。

EMで環境教育を始めよう!

またこれが,「水からの伝言」というまったくのいんちき本を称揚した困った教育実践を 支えた TOSS ともつながっていることは,上を見れば分かる。

とはいえ,ここではEMそのものの批判はおいて,それをせっけんに使ったという商品に ついて考えてみよう。

"シャボン玉 EM石鹸" というキーワードで検索してみると,どうやら北九州にある シャボン玉石けん株式会社 という老舗のメーカーの製品のことらしい(他にもあるかも知れません)。しかし, このサイトにはEMせっけんが何を成分として含んでいるかという説明は見当たらなかった。そこで他を探してみたら, シャボン玉EM石けんの疑問にお答えします。 というのが見つかった。そこから引用することにしよう。「EMせっけんで洗った食器に菌が残留することはないか」という問いへの答えとして書かれている。


EM石けんには、生きている菌ではなく、EMに含まれている抗酸化物質や微量ミネラルが入っているため残留しません。これらの成分によって腐敗雑菌の繁殖が抑えられます。

さて,これはまともだろうか?ぜんぜんまともではない。まず第一に,EM信奉者の主張によればEM菌というのは有用な微生物であって,食器に菌が残留してそれが仮に体内に入ったとしても問題はないはずだ。それを消費者に聞かれて,「いえ,食器には菌は残りませんから大丈夫です」というのは馬脚丸見えではないか。実際こんな記事も見つかる。

EM善玉菌−腸内革命−医食同源

まあ,この種の信仰には宗派がいろいろとあったりするのが普通だから,「食べる派」とそうでない派があるかも知れないので,せっけんとこっちの間で矛盾があることはおいておこう(とにかく追い始めると突っ込みどころが多すぎるのである)。

しかし「抗酸化物質や微量ミネラル」が「腐敗雑菌の繁殖が抑え」るというのは真っ赤なウソである。微生物を育てるのには有機物やミネラルを適当に培地に入れてやらなければならないというのは,高校生物でも常識だろう。ちなみに「抗酸化物質」というのは,糖分やアルデヒドなどが代表的なものだが,基本的に有機物は程度の差こそあれ還元剤として働くのである。そんなものがあれば,微生物はよろこんで餌にするだろう。実際には大してEM由来の成分を入れてはいないだろうから,繁殖の培地になったりはしないだろうけど。あ,ひょっとしてEM成分をたっぷり入れたりすれば,石鹸はカビやバクテリアのよい培地になるとは思うが。

そんなわけで,単純な「無添加せっけん」のほうがEM成分を加えたせっけんよりも雑菌に対しては安心である。なおせっけん自体も有機物だが,純粋であれば貧栄養の物質であるから,それ自体で培地にはなりにくい。

ちなみに,花王が発表した浴室のカビに関する研究結果では,せっけんや洗剤がついたところにカビが発生するのではなく,それが皮脂などの成分を含んでいるためにカビが成長するのだということだった(おことわり―新聞記事を読んだ記憶に頼っています)。



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